食形態の変更をきっかけに、元気な様子を見せるようになった男性を紹介します。このコーナーでは、病棟での日常生活やリハビリの一部を紹介します。 写真は患者様とご家族の同意を得て掲載しております。

82歳男性、脳梗塞の患者様。摂食嚇下障害のため経鼻経管栄養を施行し、約2ケ月間経口摂取していない状態で転院されてた。入院時は口数少なく元気がない印象だった。

摂食嚥下訓練は食べ物を使わない間接訓練から始め、VE(嚥下内視鏡検査)を実施した後、ベッドサイドでのゼリー摂取から段階的経口摂取訓練を進めていった。徐々に摂食姿勢・食形態がUPしていき、1日3食ペースト食を食べられるようになった。

「美味しいものが食べたい」という想い

順調にすすんでいると思われたが、食事量が一向に増えなかったた。そのため、経鼻チューブがなかなか抜去できず、このまま食事量が増えなければ胃瘻(いろう)も考えられた。

本人の「どうしても家に帰りたい」という想いをくみ、担当スタッフ全員が何とか自宅退院できるように、食事量を増やすための解決策を模索。担当スタッフが本人と話し合いを重ねた。嚥下機能的にはまだ厳しいと思われたが、本人の「美味しいものが食べたい」という想いをくみ、見た目が美味しそうな食形態(形があるもの)に変更してみた。

いかにQOLを向上させるか

すると食事量が飛躍的に増え、経鼻チューブを抜去するまでに至った。本人も「嬉しい」と言われ、元気が出てきた印象を受ける。患者様の機能・能力面だけをみるのではなく、いかに生活の質QOLを向上させるかを考えさせられた症例であった。退院先は施設が第1選択であったが、経口で1日必要栄養量を摂取できるようになったことで、現在は自宅退院を目指している。